ただの紅茶好きが紅茶について色々語ったり勉強したりするブログ

ただの紅茶好きが、紅茶について知っていることをお話ししたり、紅茶の本やレッスンで勉強したりするブログです。

イングリッシュブレックファストを飲み比べてみた(5)英国ブランド編

前々回の記事でレビューした庶民派ブランドの紅茶に続き、今回は英国の紅茶ブランドのイングリッシュブレックファスト(に相当する茶葉)を飲んでいきたいと思います。なお、あらかじめお伝えしておくと、今回はかなり辛口です。

イングリッシュブレックファスト

※ブランド名のABC順です。

 

Clipper イングリッシュ ブレックファスト

Clipper

トップバッターのClipper(クリッパー)は1984年に誕生した比較的新しいブランドです。日本でもわりと昔から販売されていますが、昨年(2021年)からは鈴商という商社が販売代理店を務めています。

news.infoseek.co.jp

上記の記事にもあるとおり、Clipperはフェアトレードのオーガニック製品を扱っていることを売りにしており、「イングリッシュブレックファスト」も当然そのひとつです。よく見ると、パッケージ右上に「有機紅茶」と書いてありますね。パッケージ裏面によると、産地はアッサムとスリランカだそうです。

Clipperパッケージ裏面

実際に淹れてみると、水色(すいしょく)はかなり暗く濃いめで、焚き火のような甘い香りがします。なお、抽出は熱湯3分にしました。抽出時間は他の商品も同様です。

Clipper水色

味については、舌の奥で感じる渋みとオーガニック紅茶特有の甘みがあります。ストレートで飲む分には普通に美味しいのですが、ミルクを加えると不自然なスパイシーさが現れるため、飲みにくくなってしまうように思います。僕はストレートのほうが好きです。

 

Edinburgh Tea & Coffee Company スコティッシュブレックファスト

Edinburgh Tea & Coffee Company

次は「Edinburghエディンバラ)」の名のとおり、スコットランドのブランドです。今年1月の日本橋三越の英国展で購入しました。輸入元である雄山株式会社のリーフレットによると、この「スコティッシュブレックファスト」はアッサム、スリランカ、アフリカの茶葉のブレンドだそうです。

水色はやや濃いめで、透明度が低めなように感じます。以前飲んだトワイニングの「アイリッシュブレックファスト」に近いスパイシーな花の香りがします。

Edinburgh Tea & Coffee Company水色

口に含むと、舌の裏で強い渋みと苦味を感じます。ミルクティーにしても、ストレートの味がほぼそのまま残ります。個人的にはストレートでもミルクティーでもあまり飲みやすくは感じませんでした。

 

Newby イングリッシュ ブレックファスト

Newby

3つめのNewby(ニュービー)は2000年に設立されたかなり新しいブランドです。英国展でティーバッグ5種入りのセットが販売されていたので、テイスティング用に購入してみました。日本の輸入代理店であるクラインズのサイトによると、「イングリッシュ ブレックファスト」はインド、スリランカケニアブレンドだそうです。インドはおそらくアッサムだと思うので、上のEdinburgh Tea & Coffee Companyと構成は似ています。

しかし、実際に淹れてみると印象は随分違います。水色はかなり濃いめで、草のような軽い香りが広がります。なんとなくディンブラっぽいかもしれません。

Newby水色

味は渋みが強めで、舌先と舌の脇で特に強く感じます。また苦味も強めです。一方、ミルクティーにすると、コクや渋みが逆に物足りなく感じられます。あっさり系のミルクティーということで、やはりスリランカの茶葉はディンブラ産ではないかと思われます。

 

Ringtons カッパス

Ringtons

続いてのRingtons(リントンズ)は、各地の催事に出店している人気のブランドです。僕も2020年の英国展で「ゴールド」という商品のミルクティーを飲んだことがあります。

teaisbalmforthesoul.hatenablog.com

そのときの感想は「渋みはないものの、コクもほとんど感じられず、かなり水っぽい味」という残念なものだったのですが、今回は「ゴールド」以外の商品の味を確かめるために、「カッパス(cuppas)」というブレンドティーを選びました。なお、cuppaは「a cup of tea」という意味のスラングです。

いざ淹れてみると、水色は他と比べて明らかに薄めです。匂いはポテトチップのような独特の印象があります。

Ringtons水色

味はマイルド、というより薄いです。渋みもコクもなく、飲みごたえがありません。「お湯の量が多かったのか?」と疑ったのですが、公式サイトには「マグカップ用=1包で1杯」という記述があり、今回はテイスティングカップ(容量最大150ml)を使ったので、お湯の量はむしろ少ないくらいです。にもかかわらず、この味の薄さは一体どういうことなのでしょうか……。しかも、ミルクティーにするとますます水っぽくなるうえ、味に不自然なエグみが出ます

このブランドは紅茶の渋みの少なさを売りにしているようですが、「渋みが少ない」を通り越して「そもそもろくに味がしない」というのは、さすがにどうなのでしょうか……。なのに催事であれだけ人気なのは、正直理由がよくわかりません……( ・ั﹏・ั)

 

Thompson's スペシャルエブリデイ

Thompson's

気を取り直して次の紅茶に移りましょう。Thompson's(トンプソンズ)は北アイルランドのブランドで、今年1月の日本橋三越の英国展に初めて出店していました。輸入代理店である宝商事のサイトによると、この「スペシャルエブリデイ」は「最上の農園から生まれるアッサム茶葉はバランスの良い味わいが特徴。ケニアの軽快な茶葉とのブレンドすることで、よりコクと風味のある紅茶をお望みの方に最もおすすめ」(原文ママ)だそうです。

なお、ティーバッグ80個入りで茶葉の量は250gなので、ティーバッグ1個あたりの茶葉は3g強ということになります。他のブランドと比べて茶葉の量が多めです。

Thompson'sパッケージ裏面

茶葉の量が多いせいか、水色は濃く、味のパンチも強くなります。香りは土っぽさの中に柑橘系の雰囲気が見える気がします。

Thompson's水色

ミルクを加えてもコクがしっかりしているので、飲みごたえのあるミルクティーになります。今回飲んだ中ではこれがいちばん好きでした。

 

Teapigs イングリッシュブレックファスト

Teapigs

最後のTeapigs(ティーピッグス)は2006年に生まれた新進気鋭のブランド。茶葉の質の高さを売りにしているようです。この「イングリッシュブレックファスト」はルワンダ、アッサム、スリランカの茶葉をブレンドして作られています。

Teapigsパッケージ裏面

抽出すると、Newbyと同じような焚き火系の香りがします。水色は濃く暗め。

Teapigs水色

味は苦みが強い一方、コクが弱く、ミルクティーにするには向いていない気がします。しかも、紅茶の味や香りとは別に、不自然なほど酸っぱい風味があります。これは恐らく茶葉に光が当たるパッケージのせいでしょう。以前、紅茶の保管方法について解説した記事で、茶葉を室内光に1週間当てたときの風味の変化を検証しましたが、それと似たような風味を感じました。

teaisbalmforthesoul.hatenablog.com

いくら味の好みは人それぞれとはいえ、茶葉の品質管理ができていない時点で論外です。率直に言って、このブランドはおすすめできません。

 

というわけで、英国ブランドのイングリッシュブレックファストを6種類飲んでみましたが、全体的に残念な結果に終わりました。以前レビューしたフォートナム・アンド・メイソンのような高級ブランドや、ヨークシャーティーなどの庶民派ブランドはちゃんと美味しかったので、今回集めた茶葉がたまたま口に合わなかった(または質が低かった)のだろうと思うことにします……。