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難しいことは一切なし! 初心者に贈る紅茶の楽しみ方ガイド

(最終更新:2024年1月21日)

コロナ禍以降、家で過ごす時間が増えた人も多いと思いますが、家にいる時間が長くなと、コーヒーやお茶の消費も自然と増えていきます。すると、「普段はコーヒーや緑茶しか飲まないけど、この機会に紅茶も飲んでみようかな」と思う方もいらっしゃるのではないかと思います。

とはいえ、紅茶を日常的に飲むことがない人からすると、「紅茶ってなんだか難しそう……」というイメージがあるかもしれません。しかし、本当はそんなことはありません。紅茶は皆さんが考えているよりもっと自由に、もっと気軽に楽しめるものです。

折しも今日4月21日は、英国のNational Tea Day(紅茶の日)。ということで今回は、紅茶を家で飲んでみたいけど、何をどう始めればよいかわからないビギナーの皆さんのために、紅茶の楽しみ方をわかりやすくお伝えしていきます。具体的なステップに沿って説明していくので、この記事のとおりに実践すれば、すぐに家で美味しい紅茶を楽しめるようになります。

 

注:この記事はビギナー向けに話をシンプルにしているので、紅茶に詳しい人から見るとツッコみどころもあると思いますが、あくまでビギナー向けということで目をおつむりください……。

 

 

ステップ1 最初の茶葉を選ぶ

何はさておき、まずは茶葉を買ってこないことには始まりません。でもスーパーの紅茶売り場に行っても、たくさん種類があって、どれを選べばよいのか迷ってしまうのではないでしょうか?

紅茶の種類の違いについては、以前解説した記事を後で読んでいただくとして、「ダージリンアールグレイって何が違うの?」という方でも、以下のような黄色いパッケージは見た覚えがあるかと思います(画像はいずれも各メーカーの公式サイトから引用)。

リプトン_イエローラベル

リプトン イエローラベル

日東紅茶_デイリークラブ

日東紅茶 デイリークラブ

日東紅茶_DAY&DAY

日東紅茶 DAY & DAY

トワイニング_ハウスブレンド

トワイニング ハウスブレンド

 

これらの茶葉は、なるべくたくさんの人の口に合うように、そしてどんな飲み方でも(つまり砂糖やミルクを入れても入れなくても)美味しく飲めるように、各メーカーの定番商品として作られています。いわばコーヒーで言うところの普通の「ブレンドに当たるものです。いちばん初めに選ぶ紅茶は、こうした一般的なブレンドティーにするのがおすすめです。

「安い紅茶って美味しくないんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、誤解を恐れず端的に言ってしまえば、高い紅茶が必ずしも美味しいとは限りません。紅茶はワインと同じように、高級なものほど味や香りの個性が強くなる傾向にあります。飲み慣れてくると、その個性の違いをだんだん楽しめるようになってきますが、最初から個性の強い茶葉を選ぶのはちょっとリスキーです。

また、上に挙げたような茶葉で「なんだか美味しくない」「味が薄い」などと感じたとしたら、それは淹れ方に問題があった可能性もあります。この後に説明する紅茶の淹れ方をよく読んで試してみてください。

というわけで、最初はごく普通のブレンドティーから始めましょう。なお、上で挙げた茶葉はどれもティーバッグなので、ポットがなくても淹れられます。

 

ステップ2 紅茶の淹れ方の基本をマスターする

茶葉を買ってきたら、いよいよ実際に紅茶を淹れてみましょう。必要な道具はカップと、お湯を沸かすためのやかん(薬缶)や電気ポットだけ。なければ手持ちの鍋でもOKですが、火傷に気をつけてください。

紅茶を入れる際は、細かく言えばいろいろなルールがありますが、最低限押さえておきたいルールはふたつしかありません。それは「汲みたて、沸かしたて」です。

「汲みたて」とは水道から汲んだばかりの水ということ。一度沸かしたお湯を沸かし直して使ったり、何十分も沸かし続けたお湯で紅茶を淹れたりすると、紅茶の苦味や渋みが強くなりすぎてしまうのです。なお、ミネラルウォーターを使う必要はなく、ごく普通の水道水で問題ありませんが、ミネラルウォーターを使う場合は硬度に注意してください。紅茶の香りや味を上手く引き出すには軟水がベストです*1

また、「沸かしたて」は文字どおり沸騰直後のお湯を使うということです。紅茶は緑茶とは異なり、100℃に近いお湯で淹れると成分がよく抽出され、美味しく淹れられます。どんなに温度が高くても、魔法瓶や保温ポットに長時間溜めてあるお湯は使わないようにしてください

この「汲みたて、沸かしたて」さえ守っておけば、魔法瓶や保温ポットのお湯を使ったときや、ファミレスのドリンクバーで淹れたときよりもずっと美味しくなるはずです。ただ、だんだん慣れて余裕が出てきたら、以下の点にも注意してみてください。 

  • カップをあらかじめ温めておくティーポットや急須を使って淹れる場合は、そちらを温めておきます。温めるときは熱湯を使わなくても大丈夫です。やかんで沸かしている途中のお湯を使ってもOK。
  • カップティーバッグを入れ、お湯を注いだらお皿などで蓋をする。お湯の温度が下がりにくくなるので、茶葉の味や香りをよく引き出せます。また、抽出中に香りの成分が飛んでいってしまうのを防ぐ効果もあります。
  • ミルクティーにする場合、紅茶の温度が下がるのが嫌なら牛乳を常温に戻しておく。温めすぎると牛乳のにおいが紅茶の香りを邪魔してしまいます。なお、冷蔵庫から出した直後の冷たい牛乳を使うのは問題ありません(僕も普段はそうしています)。
  • ティーバッグで淹れる場合はマグカップを使うティーカップを使っても味に影響はないものの、ティーカップにお湯を直接注ぐとこぼれやすいので火傷の危険があります。ただ、マグカップは茶葉の量に対してお湯が多くなりすぎる場合があるので、入れすぎには気をつけましょう。

 

ステップ3 いろいろな茶葉を飲み比べる

紅茶を淹れるのが上手くなってきたら、次はいろいろな産地や種類の茶葉を飲み比べて、自分の好みを探っていきましょう。といっても、いくつもの種類の茶葉を自分で揃えるのは面倒くさいし、お金もかかりますよね。

そこでおすすめしたいのが、さまざまな種類の茶葉が揃ったアソートセットを購入することです。「そんなもの売ってたっけ?」と思われるかもしれませんが、スーパーの紅茶売り場に行ってみると、以下のような商品が見つかると思います(画像はまた各メーカーの公式サイトから引用)。

 

日東紅茶_バラエティパック

日東紅茶 デイリークラブ 6バラエティパック スタンダード

トワイニング_ベスト5

トワイニング ザ・ベスト5

サー・トーマス・リプトン_5種アソートパック

サー・トーマス・リプトン 5種アソートパック

 

こうした商品は、茶葉が着香されているもの(「フレーバードティー」と呼びます)と着香されていないものがバランスよく入っており、手軽に飲み比べができるようになっています。このようなアソートセットの中で、味や香りが気に入った茶葉の名前をメモしておきましょう。実際に淹れる際は、ステップ2と同じ手順で問題ありません。また、1杯目はストレートで、2杯目はミルクを入れてというように、飲み方を変えて味や香りを比べるのもおすすめです。

なお、似たようなアソートセットでも、以下のようにフレーバードティーしか入っていないものもあります。着香されていると紅茶本来の香りがわかりにくくなるうえ、好き嫌いも分かれるので、今の時点では避けておくのが賢明です(その香りが好きだとわかっている場合はどんどん飲んでください)。

日東紅茶_バラエティパックフルーツ

日東紅茶 デイリークラブ 6バラエティパック フルーツ

トワイニング_アールグレイセレクション

トワイニング アールグレイセレクション5

 

ステップ4 気に入った種類の紅茶をもっと飲んでみる

茶の味や香りの好みをつかんできたところで、気に入った茶葉を他にもいろいろ試してみましょう。同じ名前の茶葉でも、メーカーやブランドが変われば、風味がまったく違ってくることも少なくありません。また、最初に飲んだ「イエローラベル」などのブレンドティーが好きであれば、他のブランドのブレンドティーを飲んでみるのも選択肢のひとつです。

ここでまたスーパーに買いに行ってもよいのですが、紅茶の知識が少し増えてきたところで、せっかくならもう少し良いお茶を飲んでみたいと思いませんか? というわけで今度は紅茶メーカーや専門店の通販サイトにアクセスしてみましょう。

たとえば、リプトンは楽天市場Yahoo!ショッピングで公式オンラインストアを運営しています。上に挙げたイエローラベルやアソートパックはもちろん、「リプトンってこんなにたくさん商品があったのか!」と驚くほどの種類が販売されています。

あるいは、商品の豊富さでいえばルピシアがおすすめです。駅ビルやショッピングモールなどで見かけたことがある方も多いと思います。「世界のお茶専門店」というキャッチコピーのとおり、紅茶だけでなく緑茶、烏龍茶、ルイボス、ハーブティーなど、バラエティ豊かなお茶を取り揃えています。紅茶だけでもとても数え切れないほどの種類があるので、お好きな紅茶がきっと見つかるはずです。また、ティーポットなどの茶器やお茶請けのお菓子を一緒に買うこともできます。

このほかにも、全国各地の紅茶専門店に通販サイトがあるので、家の近くのお店を検索してみるのもよいでしょう。通販サイトの便利なところは、商品のページを閲覧すると、他のおすすめ商品や関連商品も一緒に表示されることです。「この茶葉を買った人はこういうのも好きなのか……」と選択肢を広げられるだけでなく、次に買うときの参考にしたり、好きな茶葉と一緒に購入(して送料を割引に)したりすることもできます。

ただし、通販サイトを利用する際は、スーパーや実店舗で買うとき以上にリーフティー(普通の量り売りの茶葉)とティーバッグを間違えないよう注意してください。ポットや急須がないのにリーフティーを買ってしまうと、淹れるのが難しくなります*2

 

ステップ5 あとは自由に楽しもう!

紅茶の淹れ方の基本をマスターして、いろいろな種類の紅茶を飲んで、自分の好みもつかんできたら、もうビギナーは卒業。あとは自由に紅茶を楽しみましょう!

紅茶についての知識をもっと深めたければ、本を読んだり、イベントやワークショップに参加したり、紅茶の講座を受講したりしてもよいでしょう。また、このブログでは「紅茶の基礎知識」というタグでいくつか記事を掲載しています。よろしければ、以下のリンクからご覧ください。

teaisbalmforthesoul.hatenablog.com

 

おわりに

というわけで、このガイドの本編はこれで終わりですが、最後にこの記事を書いた理由について少しお話しさせてください。

わざわざ自分で書かなくても、紅茶ビギナー向けの記事やページは、ちょっと検索すればいくらでも見つかります。それでも「どうしてもこの記事を書かなければいけない」と思ったのは、他の記事は初心者向けと言いつつハードルが高すぎるというか、有り体に言えば不親切に感じられたからです。

たとえば、いきなり紅茶の名前や特徴を羅列したところで、ダージリンアールグレイの違いもわからない人は面食らってしまうかもしれません。あるいは、ティーポットやティージー(ポットにかぶせる布製のカバーのこと)を買うよう勧めても、もし紅茶を飲まなくなれば無用の長物になってしまいます。

そういう特別な知識や道具がなくても、元から家にあるカップとやかんさえあれば、美味しい紅茶は家でも気軽に楽しめます。紅茶大国として知られる英国でも、紅茶の消費量の大半はティーバッグによるもので、「マグカップティーバッグを放り込み、熱湯を注いで、ミルクと砂糖を好きなだけ入れて飲む」のが一般的なスタイルです。紅茶をティーバッグで淹れてはならない理由なんてありません。

もちろん紅茶の知識が増えればそれだけ深く楽しめるようになりますが、まずは紅茶をもっと気軽に楽しんでほしい。もっとたくさんの人に紅茶の美味しさを知ってほしい。そんな思いからこの記事を書きました。

この記事を読んでいただいた人に、紅茶への興味を少しでも持っていただければ、ひとりの紅茶好きとしてこれ以上嬉しいことはありません。 

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僕が普段紅茶を淹れるときの様子。1人分なので大抵ティーバッグを使います。

今回紹介したスーパーなどで普通に変えるブレンドティーについては、こちらの記事で味や香りを比較しているので、よろしければご覧ください。

teaisbalmforthesoul.hatenablog.com

 

*1:日本の水道水はたいてい軟水なので、水道水を使う場合はあまり硬度に気をつける必要はありません。とはいえ、水の硬度が高い地域もあるので、気になる方は調べてみてください。

*2:まあ、あえてリーフティーを買ってきて、お茶パックを使って淹れる手もありますが……。実はそのほうが回数が増えてコスパも良くなりますし、僕も普段はそうしています。