(最終更新:2021年4月17日)
ある日のこと。スーパーのドリンク売り場を通りがかったときに、ふと思いました。
「そういえば、市販の紅茶飲料って昔よりずいぶん増えたな……」
一昔前は、紅茶飲料といえば「午後の紅茶」「ジャワティストレート」「紅茶花伝」、そして紙パックの「リプトン」くらいしか選択肢がありませんでした。でも今はスーパーやコンビニなどに行くと、驚くほどたくさんの紅茶飲料が売り場に並んでいます。また、紅茶飲料の広がりは統計からも伺うことができ、「2019年1~12月の販売実績は前年比15%増となり、過去最高になった」そうです。
どうせ新型コロナウイルスの影響で出かけられないんだし、家でしかできないようなことをあえてやってみよう…………ということで、今回から数回にわたり、市販のペットボトル紅茶の飲み比べをしてみたいと思います。まず今回はミルクティーの飲み比べです。
- キリン 午後の紅茶 ミルクティー
- キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー
- サントリー クラフトボス ミルクティー
- サントリー ボス とろけるミルクティー
- リプトン 白の贅沢 ミルクティー
- コカ・コーラ 紅茶花伝 ロイヤルミルクティー
- アサヒ飲料 ロイヤルミルクティー
- 伊藤園フードサービス セブンプレミアム ミルクティー
- まとめ
ちなみに、ペットボトル以外にも紅茶飲料はありますが、そこまで飲み比べていると切りがないので、今回はペットボトルに限定します。また、飲み比べの対象に含まれていない商品はたまたま手に入らなかっただけで、意図的に排除したわけではありません。
さて、飲み比べと言っても味の好みは人それぞれなので、「これは美味しい」「これは不味い」と一概に決めることはできません。そこで、「自分で茶葉から淹れた紅茶と味や香りが近いか?」を基準にしながら飲み比べていきます。
まず今回のミルクティー編では、以下の6つと、
さらに追加で以下の2つの合計8種類を飲み比べました。
パッケージはともかく、中身の色はどれもほとんど同じで見分けがつきませんね……。
キリン 午後の紅茶 ミルクティー
注:このレビューは、2021年3月のリニューアルより前に販売されていた商品を対象としています。リニューアル後の商品については、こちらの記事をご覧ください。
まずは定番の「午後の紅茶」からです。そういえば、一昨年あたりにパッケージがリニューアルされてスタイリッシュになりましたね。
定番品だけあって、紅茶の香りや味はちゃんとします。ただ、砂糖の甘さがかなり強めです。他の商品はどちらかと言うとミルク感が強めのものが多いので、砂糖の甘さが際立っているのはある意味ユニークかもしれません。
余談ですが、ルピシアのアフタヌーンティーという茶葉でミルクティーにすると、これに近い味がします。まあ、字面どおり訳せば「午後の紅茶」ですしね……。
キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー
次は同じ「午後の紅茶」のシリーズから、昨年発売されたザ・マイスターズのミルクティーです。パッケージで「甘くない微糖」と謳っているとおり、甘い飲料を控える大人のユーザーをターゲットに開発されたそうです。
砂糖が減った分、紅茶の味が際立つ………………と思いきや、かえって「紅茶と牛乳と砂糖」以外の余計な味が目立ちます。10%程度とはいえウバを使用しているわりに香りも弱く、ウバっぽさも感じられません。甘すぎる紅茶から砂糖を減らしたら、むしろ紅茶っぽさが弱まってしまうのはどういうことなんでしょうか……?
サントリー クラフトボス ミルクティー
「午後の紅茶」の次は、サントリーの商品を2種類飲んでみましょう。まずは昨年発売された「クラフトボス」からです。発売直後はSNSでも話題になりましたが、口コミをネットで検索してみると、「午後の紅茶」以上に賛否が分かれている印象があります。
実際に買って蓋を開けてみると、その理由がわかりました。明らかにベースの茶葉がアールグレイ*1です。紅茶の味がしないことはないものの、香料があまりに強すぎるせいで紅茶本来の味が打ち消されてしまっています。
アールグレイが好きなら問題なく飲めるとは思いますが、これが「紅茶本来の香り」かと言われると…………。いやもちろんアールグレイも紅茶の一種ではあるのですが、だからと言って「紅茶の華やかな香りが口の中に広がる」という商品説明はちょっとミスリードだと思います…………( ・ั﹏・ั)
サントリー ボス とろけるミルクティー
次のとろけるミルクティーも、3年ほど前に発売された比較的新しい商品です。「ダブルの生クリーム」「濃厚な味わい」というパッケージのとおりミルク感がかなり強めでとにかく濃厚です。紅茶の香りはあまり感じられませんが、紅茶の味はそこそこします。
甘さが強いのでゴクゴク飲むにはかなりつらいものの、これでアイスクリームやソフトクリームにしたら美味しくなりそうな気がします。
リプトン 白の贅沢 ミルクティー
この記事を書くために調べていて知ったんですが、リプトンのペットボトル紅茶もサントリーが販売してるんですね…………。
味は「午後の紅茶」を煮詰めたような感じで、乳脂肪分の味が濃厚な一方、紅茶の味もそれなりに強く感じます。他の商品は渋みが強めの茶葉を使っているようですが、この「白の贅沢」はコクがメインの茶葉を使っているようです。ただ、味がしつこすぎて紅茶の味も変質してしまっているような感じがしますが…………。
コカ・コーラ 紅茶花伝 ロイヤルミルクティー
続いては、「午後の紅茶」と並ぶ定番商品の「紅茶花伝」です。1992年発売ということで、今年でもう28年も経つんですね。
飲んでみると、渋みが強めの紅茶の味が長く残ります。甘さやミルク感はやや控えめ。ただ、「クラフトボス」ほどではないにしろ、紅茶本来のものとは違ったやや人工的な味がします。香料か何かでしょうか?
アサヒ飲料 ロイヤルミルクティー
次はアサヒ飲料のロイヤルミルクティー。少なくとも僕の家の周りでは、自動販売機以外では見かけません。
「ウバ100%」を謳うだけあって、紅茶の香りが強めです。味はサントリーのとろけるミルクティーに似てミルクの感じが強いものの、ウバの渋みのおかげか、やや飲みやすく感じられます。とはいえ、甘さや脂っぽさがしつこいのはあまり変わりませんが。
やっぱりこれもアイスクリームにしたら美味しそうな気がします。あるいはプリンでもよいかも。
伊藤園フードサービス セブンプレミアム ミルクティー
セブンイレブンのプライベートブランドの紅茶は、伊藤園の系列会社が製造していたんですね……。先取りしておくと、ミルクティー以外の商品でも同じ伊藤園フードサービスが製造しています。
香りは他の商品と比べてもかなり控えめです。甘さは普通の「午後の紅茶」と同じくらいでしょうか。紅茶の味がしないこともないのですが、それより人工甘味料の不自然な味が目立ちます。
まとめ
以上の8種類を飲みながら気づいたのですが、そもそも普通にミルクティーを淹れるときは紅茶、砂糖、牛乳以外の材料は使わないはず*2で、砂糖を加えるにしても市販品ほど甘くすることはそうそうありません。微糖の紅茶ですら、自分で淹れたミルクティーよりは十分に甘いと思います。
それだけたくさん砂糖を加えてしまうと、「紅茶らしさ」を演出するためには全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、練乳、香料など「茶葉と牛乳と砂糖」以外の材料を使わざるを得ないわけで、その時点でペットボトルのミルクティーが普通のミルクティーになるはずがないんですよね…………。
とはいえ、「紅茶らしい紅茶」に近づけるためにメーカー各社も努力しているわけで、その方向性から各メーカーが何をもって「紅茶らしい」と考えているかが伺えるのは興味深いと思います。
最初に話したとおり、味の好みは人それぞれですが、強いて自分の好みを挙げるなら、1位はアサヒ飲料の「ロイヤルミルクティー」、次点で「ボス とろけるミルクティー」でしょうか。どちらも人工的な味があまりしないという点で、普通のミルクティーに少し近いように思います。甘党だから単に甘いのが好きなだけかもしれませんが……。
ミルクティーの飲み比べはここまでにして、次回はレモンティーやオレンジティーの飲み比べをします。お楽しみに。
teaisbalmforthesoul.hatenablog.com
シリーズの記事一覧はこちらです。