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ウェッジウッドのティーバッグ商品全種レビュー

今日4月21日は英国のNational Tea Day(紅茶の日)。毎年この日は英国ブランドの飲み比べをしています。1年目のフォートナム・アンド・メイソン、2年目のトワイニング、そして3年目のアーマッドティーに続き、今年は陶磁器ブランドとしても有名なウェッジウッドを取り上げます。

ティーバッグ商品のパッケージを縦横2×2になるよう積み重ねています。

 

今回のラインナップとルール

飲み比べに入る前に、まずは今回レビューする商品のラインナップと飲み比べのルールを確認しておきましょう。

日本版の公式サイトによると、ウェッジウッドティーバッグ商品は次の3つのカテゴリに分かれています。

今回はこのカテゴリごとにセクションを分けて飲み比べていきたいと思います。お湯の量や抽出時間については、各商品のパッケージを参考に決めています。ただし、「ウェッジウッド ラグジュアリーティー」のシリーズはパッケージにそういった情報が一切書かれていないため、茶葉の種類や銘柄を踏まえて自分で判断しています。詳しい条件は各商品の項でご確認ください。

 

ウェッジウッド シグニチャティー」シリーズのレビュー

それではいよいよ本題の飲み比べに入りましょう。まずはウェッジウッドのお茶の中でも基本ラインと思われる「シグニチャティー」のシリーズです。なお、順番は商品名のあいうえお順です。

アールグレイ

抽出条件:熱湯120mlで3分

「シグニチャー ティー」シリーズの「アールグレイ」をテイスティングカップに注ぎ、横にティーバッグを置いています。この形式は以降の商品も同様です。

水色(すいしょく)はオレンジ寄りの淡い褐色で、香りはベルガモットというよりオレンジに近いかもしれません。ベースの茶葉はスリランカとのことで、味は渋味主体でコクは控えめ。牛乳を加えても香りが消えず、収斂味(しゅうれんみ)もわりと強く残りますが、コクがないのでちょっと水っぽく感じられます。個人的には牛乳を加えずストレートのまま飲むのがおすすめです。香りの爽やかさを活かせるよう、水出しにするのもありかもしれません。

 

イングリッシュ ブレックファスト

抽出条件:熱湯120mlで3分

「シグニチャー ティー」シリーズの「イングリッシュ ブレックファスト」。

水色はやや明るめの褐色。アッサムとスリランカブレンドとのことで、口に含むとアッサムの土っぽさとスリランカの花っぽさを同時に感じます。味は適度な渋味とコクがあり、いかにも紅茶らしい紅茶です。牛乳を加えると程よくコクが残り、飲みやすいミルクティーになります。ただ、紅茶の味わいをしっかり残したければ、抽出時間をもう1分長くしてもよいかもしれません。

 

ウェッジウッド オリジナル

抽出条件:熱湯120mlで3分

「シグニチャー ティー」シリーズの「ウェッジウッド オリジナル」。

水色はやや濃いめの褐色。口に含むと花のような香りの後に、かすかにポテトチップのような香りがします。味は渋味が強烈で、牛乳を加えずに飲むのは厳しいのですが、ミルクティーにすると思いの外あっさりした味わいになります。短めにさっと抽出してストレートのまま飲むか、やや長めに蒸らしてミルクティーにするのがよさそうです。

なお、「もしかしてケニアの茶葉を使ってる?」と思って産地を確認したところ、インドとケニアブレンドだったので、案の定でした。味や香りの傾向は同じ英国ブランドのPG Tipsやテトリーに似ている気がします。

teaisbalmforthesoul.hatenablog.com

 

セイロン アフタヌーン ティー

抽出条件:熱湯120mlで3分

「シグニチャー ティー」シリーズの「セイロン アフタヌーン ティー」。

香りは明るい褐色で、いろいろな草花を集めたような香りがします。味は渋味が強い一方、コクはやや控えめ。おそらくスリランカの中でもハイグロウン中心のブレンドと思われます。ミルクティーはかなり水っぽくなり、花のような香りが悪目立ちしてしまうので、個人的には短めの抽出でストレートのまま飲むのがおすすめです。

 

マハラジャ ダージリン

抽出条件:熱湯120mlで3分

「シグニチャー ティー」シリーズの「マハラジャ ダージリン」。

水色はオレンジを帯びた褐色。香りは火入れの香ばしさの後にマスカテルフレーバーの片鱗が感じられます。口に含むとマスカテルフレーバーがさらに際立ち、果実味の強い味がしますが、渋味も強めです。なお、牛乳を加えると紅茶の味が完全に殺されるので、ミルクティーにするのはおすすめできません。

 

レモン&ジンジャー

抽出条件:熱湯150mlで3分

「シグニチャー ティー」シリーズの「レモン&ジンジャー」。

茶葉の香りを嗅いでみると生姜の印象が強めですが、実際に淹れてみるとレモングラスの香りが立って、生姜とのバランスが良くなります。レモンピールも使っているそうですが、皮の苦味はあまり出ておらず、むしろリコリスの甘味のほうが目立ちます。

 

レモングラス&ミント

抽出条件:熱湯150mlで3分

「シグニチャー ティー」シリーズの「レモングラス&ミント」。

第一印象はペパーミントの主張が強めですが、口に含むとレモングラスの主張が増してきます。後味にフェンネルのツーンとくる感じも残ります。レモングラスが好きな人には、上の「レモン&ジンジャー」よりこちらのほうがおすすめです。

 

「ワイルド ストロベリー」シリーズのレビュー

次は陶磁器のデザインとしても有名な「ワイルド ストロベリー」柄のパッケージの紅茶4種です。なお、これも銘柄名のあいうえお順に飲んでいきます。

アールグレイ フラワーズ

抽出条件:熱湯120mlで4分

「ワイルド ストロベリー」シリーズの「アールグレイ フラワーズ」。

水色は焦がしたカラメルのような濃いめの褐色。ベルガモットのスパイシーな香りが強めですが、むせ返るほどではなく、どこか上品です。味は多少の渋味がありつつ、全体的にはマイルドでまろやか。コクがそこそこあるので、「シグニチャティー」の「アールグレイ」よりはミルクティー向きかもしれません。なお、ベースの茶葉はスリランカと中国(おそらくキームン)のブレンドだそうです。

 

ウィークエンド モーニング

抽出条件:熱湯120mlで4分

「ワイルド ストロベリー」シリーズの「ウィークエンド モーニング」。

水色はミルクチョコレートのような濃い褐色。茶葉の産地はインド、マラウイケニアとのことですが、この「インド」はおそらくアッサムだろうと思います。香りは土っぽさの中にサツマイモのような甘さもあり、味は渋味やコクが強め。パンチのある風味で、ストレートで飲むのは少し厳しいかもしれませんが、牛乳を加えるとコクが強く飲みごたえのあるミルクティーになります。週末(ウィークエンド)に限らず、アクティブに動きたい日の朝に飲むのがおすすめです。

 

ピクニック

抽出条件:熱湯120mlで4分

「ワイルド ストロベリー」シリーズの「ピクニック」。

水色は黒々とした褐色。スリランカブレンドだそうで、草のような香りと渋味が中心の味わいです。ストレートで飲むと、ややあっさりした味に感じるのですが、ミルクティーは意外とコクがあり、まろやかでトゲのない味わいになります。今回飲み比べた商品の中では飲み方を問わずに楽しめる万能選手的なブレンドだと思います。

 

ファイン ストロベリー

抽出条件:熱湯120mlで4分

「ワイルド ストロベリー」シリーズの「ファイン ストロベリー」。

ベースの茶葉が「アールグレイ フラワーズ」と同じくスリランカと中国なので、水色も似ています。名前のとおり、イチゴの香りを漂わせていますが、口に含むとそこまで強くは感じません(もちろん多少は感じます)。味は「アールグレイ フラワーズ」に似てマイルドではあるものの、イチゴの香りの影響なのか、微妙に酸味があるような感覚を覚えます。

 

ウェッジウッド ラグジュアリーティー」シリーズのレビュー

最後は「ラグジュアリーティー」シリーズを飲んでいきますが、実はここまでに飲んできた2つのシリーズとは異なり、「ラグジュアリーティー」は日本で製造されています。その証拠に、「シグニチャティー」と「ワイルド ストロベリー」のパッケージ裏面には「原産国名:イギリス」という表記がありますが、「ラグジュアリーティー」は加工所として静岡のシークという会社の名前が書かれています。おそらくこのシリーズは、ウェッジウッドの日本法人*1が独自に企画販売している商品なのでしょう。

「ウェッジウッド シグニチャーティー」のアソートパックの裏面。内容量、賞味期限、原産国、輸入者などが書かれています。

シグニチャティー」のアソートパックの裏面。「原産国名:イギリス」の記載があります。

「ウェッジウッド ラグジュアリーティー」のパッケージ裏面。大きな枠の中にそれぞれの紅茶の原産国や内容量などが書かれており、その外側に加工所としてシーク株式会社の名前が出ています。

「ラグジュアリーティー」のパッケージ裏面。枠外に「加工所:シーク株式会社」という記載があります。

前置きはここまでにして、飲み比べに入りましょう。なお、「ラグジュアリーティー」にはフレーバードティーのパックと産地別紅茶(フレーバーなし)のパックの2つがありますが、産地別紅茶のほうから先に飲んでいきます。

 

オーガニックダージリン

抽出条件:熱湯150mlで3分

「ラグジュアリーティー」シリーズの「オーガニックダージリン」。

水色はやや薄めの褐色で、オレンジ色に近い印象もあります。香りは火入れの香ばしさが強く、口に含むとマスカテルフレーバーのような香りも感じつつ、それ以上に酸化発酵や火入れによって生まれる甘味ダージリンならではの収斂味が目立ちます。コクが強くないせいか、牛乳を加えるとやはり少し水っぽくなります。烏龍茶のミルクティーのようなものと考えればありかもしれませんが、個人的にはストレートのまま飲むのがおすすめです。

 

オーガニックアッサムCTC

抽出条件:熱湯150mlで3分

「ラグジュアリーティー」シリーズの「オーガニックアッサムCTC」。

水色は濃いめの褐色。いわゆる焦げ茶色という感じです。香りは土っぽさが際立ち、ほのかにモルティなフレーバーも感じられます。味は渋味やボディがしっかりしており、いかにもミルクティー向き。牛乳を加えると、まろやかながらコクのある王道のミルクティーの味になります。

 

オーガニックドアーズ

抽出条件:熱湯150mlで3分

「ラグジュアリーティー」シリーズの「オーガニックドアーズ」。

ダージリンやアッサムほどメジャーではないので簡単に補足しておくと、ドアーズはインドの北東部にある産地で、ダージリンとアッサムの中間にある丘陵地帯に位置しています。CTCの生産が多いのですが、このティーバッグにはオーソドックスタイプの茶葉を使っています。

水色は濃い褐色で、香りは燻製のようなスモーキーさを感じます。この香りは人によって好き嫌いが分かれそうです。味は渋味が少なくマイルドで、甘味よりも旨味が強め。意外とコクがあるので、ミルクティーにもできそうですが、その場合は抽出時間を3分より長くしたほうがよさそうです。

 

オーガニックウバBOP

抽出条件:熱湯150mlで3分

「ラグジュアリーティー」シリーズの「オーガニックウバBOP」。

水色は暗く濃い褐色。強いメントール香と渋味で典型的なウバです。意外とコクがあるので、あっさりめのミルクティーとして飲むのもありですが、個人的に短めの抽出でストレートのまま飲みたいところです(ストレートの場合、3分は長すぎました……)。

 

オーガニックティトゥーリアGFOP

抽出条件:熱湯150mlで3分

「ラグジュアリーティー」シリーズの「オーガニックティトゥーリアGFOP」。

ティトゥーリアはバングラデシュにある茶園です。なぜこれだけ茶園名まで指定されているのかはよくわかりません……。

水色は程よい褐色で、やや明度が暗いように見受けられます。パッケージには「ドライフルーツやはちみつに似た香り」と書いてありますが、僕は夏野菜のような香りと相まって、フルーツトマトのような印象を受けました。味は渋味が少なくマイルドで、ミルクティーにすると甘味が消え、独特の香味が強くなります。個人的にはストレートのほうが好みです。

なお、後ほどレビューするフレーバードティーのうち、紅茶がベースになっている4種(アールグレイ、マスカット、アップル、ベリーミックス)はこのティトゥーリアの茶葉を使っています。

 

オーガニックイングリッシュブレックファースト

抽出条件:熱湯150mlで3分

「ラグジュアリーティー」シリーズの「オーガニックイングリッシュブレックファースト」。

茶葉はアッサムとウバのブレンド。水色は濃いめの褐色で、カラメルや琥珀のような色をしています。香りはウバのメントール香が強く、後からアッサムの土っぽさを感じます。味は渋味主体でパンチが強め。ミルクティーにしてもメントール香が残り、キレがありつつ舌触りはサラサラとしています。コクの強いミルクティーが飲みたければ、お湯の量を少し減らしたほうがよさそうです。

 

オーガニックアールグレイティー

抽出条件:熱湯150mlで3分

「ラグジュアリーティー」シリーズの「オーガニックアールグレイティー」。

ここからはフレーバードティーに移ります。まずはアールグレイです。上で飲んだティトゥーリアの茶葉をベースに使っているので、基本的にはマイルドな味わいですが、ベルガモットの香りのせいなのか、苦味が強く感じられるように思います。ベースの茶葉と香料の相性は悪くないものの、ミルクティーにすると香料の作り物っぽさが悪目立ちします。そのため個人的にはストレートで飲むのがおすすめ。

なお、この後の3つもベースの茶葉にティトゥーリアを使っているので、写真は省略します。

 

オーガニックマスカットティー

抽出条件:熱湯150mlで3分

マスカットの香りは爽やかですが、ベースの茶葉との相性があまり良くない気がします。ミルクティーにしても同様で、「香りが不自然なフルーツ牛乳」のようです。やはりこれもストレート向きでしょう。

 

オーガニックアップルティー

抽出条件:熱湯150mlで3分

赤いリンゴを思わせる香りのおかげで、紅茶自体に甘味があるように感じます。オーガニックのフレーバード紅茶4種の中ではいちばんミルクティー向きでもありますが、リンゴの香りがやや作り物めいている気がします。

 

オーガニックベリーミックスティー

抽出条件:熱湯150mlで3分

上のアップルティーと比べると、香りはやや控えめなようです。ただ、ベリーの香りとベースの茶葉の香りが喧嘩しているかもしれません。ミルクとの相性も微妙で、香料のツンとくる感じが不快に感じられます。

 

オーガニックルイボスフルーツミックスティー

抽出条件:熱湯150mlで5分

「ラグジュアリーティー」シリーズの「オーガニックルイボスフルーツミックスティー」。

その名のとおり、フルーツの香りがするレッドルイボスです。特にクアバの香りが強く感じられます。人によって好みが分かれそうな香りです。

 

オーガニックピーチグリーンティー

抽出条件:約90℃のお湯150mlで1分

「ラグジュアリーティー」シリーズの「オーガニックピーチグリーンティー」。

国産煎茶に桃の香りを着けたフレーバードティーです。緑茶の甘味と桃の香りが相まって、缶詰めの桃を食べているような気分になります。

 

飲み終えた後の雑感

というわけで、ウェッジウッドティーバッグ商品を飲んできました。感想を端的に言ってしまうと、ウェッジウッド シグニチャティー」と「ワイルド ストロベリー」はそれなりにおすすめできる一方、ウェッジウッド ラグジュアリーティー」はちょっと微妙に感じました。

英国から輸入している「シグニチャティー」と「ワイルド ストロベリー」の2つは、品揃えが非常にオーソドックスなうえ、価格もティーバッグ20個で1,000円台と比較的手頃です。英国の紅茶を手軽に飲みたい人にとっては、ちょうどよい商品ではないかと思います。しかも、アソートパックだけでなく、銘柄別の商品もあるので、気に入った銘柄だけを指名買いすることもできます。

一方、「ラグジュアリーティー」のシリーズはアソートパックしかなく、価格もティーバッグ6個で税込1,080円とかなり割高です。仮に気に入った産地や銘柄があったとしても、似たような味や香りの商品は他のブランドにもある*2ので、わざわざこのシリーズを選ぶ必要性は薄いでしょう。せめて価格がもう少し安ければ……( ・ั﹏・ั)

そんなわけで、今後自分が買うとしたら「シグニチャティー」か「ワイルド ストロベリー」でしょうか。ちょうど自宅の近くにオープンした食料品店でアソートパックを扱っていることがわかったので、機会があればまた買ってみようかなと思います。

*1:厳密には、ウェッジウッドのブランドを所有しているフィスカースという会社の日本法人。フィスカースはフィンランド消費財メーカーで、ウェッジウッド以外にもイッタラ、アラビア、ロイヤルコペンハーゲンロイヤルドルトン、ロイヤルアルバートといったブランドも所有しています。

*2:あまり名前を聞かないティトゥーリアですら、デコラージュなど他のブランドで購入できます。