10月も半ばを過ぎ、気温がぐっと下がって秋らしくなってきました。秋になると、ミルクをたっぷり入れた温かいミルクティーが飲みたくなります。
ミルクティーに合う茶葉にもいろいろありますが、定番はやはりアッサム。特に6~7月頃に収穫された夏摘みのセカンドフラッシュは、味も香りも最高と言われています。そしてそのセカンドフラッシュのアッサムが日本に入ってくるのが9~10月頃。つまり今はクオリティシーズンの美味しいアッサムを楽しむのに絶好のタイミングなのです。
そんなアッサムのクオリティシーズンに合わせて、ルピシアでは毎年9月頃になると、旬のアッサムを集めた飲み比べセットを販売しています。今回はその飲み比べセットで、アッサムのミルクティーをいろいろ楽しんでみました。
今年のセットは「レッド」「ターコイズ」「マスタード」とパッケージが3種類あります。中身はどれも同じなので、好みに合わせて好きな色を選べます。ちなみに僕はターコイズを選びました。他の色が店頭で売り切れていたからというのもありますが……。
今年のセットの中身は以下の4種類で、それぞれ20gずつ入っています。
ちなみに、今年のルピシアのラインナップにはモカルバリとドゥームニもありますが、この2つはセットには含まれていません。
セットの説明はここまでにして、さっそく飲んでいきましょう。まずはブレンドの2種類からです。
アッサム ゴールデンチップス クオリティー 2020
華やかな香りが魅力のオーソドックスタイプの茶葉に、まろやかな甘みと深いコクにこだわったCTC(Crush, Tear and Curl=茶葉を砕き、裂いて丸める製法)タイプの茶葉をブレンドしました。
鮮やかで芳醇な香り、きめ細やかな甘い味わい、しっかりとしたコクが一度にお楽しみいただける、旬のアッサム紅茶の魅力をぎゅっと詰めこんだ贅沢なブレンドです。
茶葉の説明のとおり、大きめの茶葉の中に、コロコロとしたCTCの茶葉が混じっています。「ゴールデンチップス」という商品名のとおり、金芽もたくさん含まれています。
淹れてみると、花のような穏やかな香りが広がります。味は心地よい渋みとしっかりとしたコクのバランスが良く、いわゆる「美味しいアッサム」といった感じです。ミルクを入れてもコクがほどよく残ります。優等生的なブレンドと言えそうです。
アッサム クオリティー "テ・オ・レ" 2020
旬の時期ならではの凝縮感のある甘い味わいと濃密なコク、旬を迎えた茶園の香りを閉じ込めたような生き生きとした香り立ちにこだわって茶葉を厳選、ブレンドしました。
牛乳、砂糖をたっぷりと加えることで、しっかりと濃厚な味わいと香りがより引き立ち、絶品のミルクティーをお楽しみいただけます。
先ほどのゴールデンチップスのブレンドとは打って変わり、茶葉が非常に細かくなっています。CTCの中でもかなり小さいサイズです。
茶葉が細かいということは、それだけ濃く抽出されるということですが、それでも口に入れた瞬間に感じられる強いボディと渋みには、わかっていてもビックリします。香りも花の蜜のような濃厚さで、自己主張の強い茶葉と言えそうです。ミルクをたっぷり入れるのはもちろん、脂肪分が多めの牛乳を選ぶのもありかもしれません。
ブレンド2種類の水色(すいしょく)を比較すると、以下のような感じです。写真だとわかりにくいのですが、右のゴールデンチップスの方がやや明るめの色をしています。
ブレンド2種類を飲んだところで、次は残りのシングルエステート(単一茶園)の茶葉を飲んでみましょう。
ディコム クオリティー 2020
蜂蜜を彷彿させる、甘く包容力のある風味が魅力のアッサム夏摘み紅茶です。
ふくよかな口当たりとコクが、柔らかく膨らむ甘い香りと絶妙に調和します。
今回の4種類の中では最もオーソドックスなタイプの茶葉です。ゴールデンチップもしっかり入っています。
香りは蜜の入ったリンゴのような甘さが感じられます。「蜂蜜を彷彿とさせる」という説明文にも納得です。味については、コクはそこそこですが、渋みが控えめで軽やかなので、ストレートでも飲みやすくなっています。一方、ミルクティーにするとちょっとあっさりしすぎかもしれません*1。
シロニバリ クオリティー CTC 2020
凝縮感のある力強く甘い味わいと、茶葉の生命力を感じるフレッシュな香りが魅力です。
濃厚な味わいが特徴のCTCタイプのお茶なので、ミルクとの相性も抜群。茶葉本来の持つ力強い風味によって、しっかりとした飲みごたえのあるミルクティーをお楽しみいただけます。
こちらはCTCですが、テ・オ・レのブレンドよりも茶葉のサイズが大きめです。
香りは4つの中でも特に強く、落ち葉のような鮮烈な香りがします。また、渋みも強烈で、茶液を飲み込んだ後もしばらく舌に渋みが残り続けます。あまりに渋みが強いので、ストレートではコクを感じにくいかもしれません。
ところが、ミルクを入れるとその渋みが大人しくなり、芳醇なコクが口の中に広がります。今回の4種類の中でも、ミルクとの相性が最も良いのはこれでしょう。マサラチャイにしたら美味しいだろうな……。
ちなみに、この2つの水色の違いは、ブレンド2種類よりもはっきりしています。鮮やかなディコムと重厚なシロニバリの違いがよくわかります。
というわけで、クオリティシーズンのアッサムをいろいろ飲み比べてみました。アッサムと言えばミルクティー、とつい考えがちですが、オーソドックス製法の茶葉ならストレートでも美味しいので、好みに応じてさまざまな楽しみ方ができるのが旬のアッサムの魅力です。今年の秋はアッサム紅茶で夜長をのんびり過ごしてみてはいかがでしょうか?