このブログでも何度か取り上げてきたドイツの紅茶ブランド、ロンネフェルトが今年(2023年)で創立200周年を迎えるそうです。今回はそのお祝いも兼ねて、ロンネフェルトのティーバッグ商品を全種類飲んでレビューしたいと思います。なお、ロンネフェルトのティーバッグ商品には「ティーベロップ」と「ジョイオブティー」という2つのシリーズがありますが、この記事ではまずティーベロップの飲み比べをしていきます。
そもそもロンネフェルトとは?
本題に入る前に、まずはロンネフェルトとはそもそもどういうブランドなのか、簡単に確認しておきましょう。「別にそういうのは興味ないんだけど」という方は、こちらのリンクをクリックすると飲み比べに進めます。
ロンネフェルトは、ヨハン・トビアス・ロンネフェルト(Johann Tobias Ronnefeldt)という人物が1823年に創業したブランドです。本国ドイツの公式サイトによると、元々ロンネフェルト家は大工の家系だったようですが、貿易商社や食料品店でキャリアを積んだヨハン・トビアスが自身の経験や人脈を活かし、フランクフルトでロンネフェルトを立ち上げたそうです。その後、創業家の中での代替わりや二度の世界大戦を経て、1984年にはフランク・ホルツアプフェル(Frank Holzapfel)という人物*1が経営権を独占し、ロンネフェルトが創業家からホルツアプフェル家の手に渡りました。そして、2012年に息子のジャン=ベレンド・ホルツアプフェル(Jan-Berend Holzapfel)が社長に就任し、現在に至るまで会社を牽引しています。
ロンネフェルトの特徴としてよく挙げられるのが、茶葉の質の高さです。日本の総代理店であるオッティ貿易のサイトによると、「ヨーロッパの有名なスパ・リゾートの最高級ホテルにおいてその優れた品質」が評価され、「伝統ある最高級ホテルだけでなくレストラン・ティーショップ・コーヒーショップにも広く支持されて」いるそうです。日本でも、椿山荘やアマン東京、丸の内のフォーシーズンズホテルや東京ディズニーリゾートのディズニーホテルなど、全国各地の高級ホテルで採用されています。
なお、僕たちのような一般の消費者がロンネフェルトの商品を購入しようとする場合、基本的には株式会社ロンネフェルトティーブティック*2の認定を受けた店舗でしか購入できません。とはいえ、オンラインショップを運営しているところも多いので、入手自体はそこまで難しくはないとも言えます。今回使用した茶葉も、認定店のひとつであるロンネフェルトティーブティック松江のサイトで注文しました。
ティーベロップ飲み比べ
さて、いよいよ飲み比べに入りましょう。なお、ロンネフェルトは紅茶以外にも緑茶やハーブティーなども扱っており、商品によっておすすめの抽出時間が異なるため、今回は抽出時間を揃えず、パッケージに書かれている目安の時間(幅がある場合は最も長い時間)に合わせました。
ダージリン(紅茶)
抽出時間の目安:3~4分
セカンドフラッシュの茶葉を使っているそうですが、火入れがかなり強く、香ばしさすら感じます。渋みが少なく、フルーティーな味わいで飲みやすいものの、紅茶というより酸化発酵が強い烏龍茶のような風味で、タピオカミルクティーのベースになりそうな味です。
アッサム(紅茶)
抽出時間の目安:3~4分
アッサム(特にセカンドフラッシュ)の特徴といえば麦芽のような香りと強いコクですが、ロンネフェルトのアッサムは、香りはやや控えめな一方、コクと渋みが強めに感じられました。舌にずっしりとくる味わいで、もちろんミルクティーにもよく合います。
イングリッシュブレックファースト(紅茶)
抽出時間の目安:3~4分
以前別の記事でも取り上げましたが、実はロンネフェルトの「イングリッシュブレックファースト」は100%ウバの茶葉です。そのためメントールの香りと収斂味が強くなっています。一方、ミルクティーにするにはコクが足りないように感じられるので、ウバのミルクティーが好きな方は別の茶葉を選んだほうがよいかもしれません。
アールグレイ(紅茶)
抽出時間の目安:3~4分
ロンネフェルト松江のサイトによると、ロンネフェルトのアールグレイは、ベースの茶葉にダージリンを使っているそうです。一般的なアールグレイはスリランカやキームンの茶葉をベースにしていることが多いので、ダージリンがベースになっているのは少し珍しいかもしれません*3。
さて、口に含むとダージリンらしい甘みを感じますが、個人的にはダージリンの風味とベルガモットの香りが喧嘩している気がします。また、ミルクを加えるとダージリンの風味が消えて、ベルガモットの香りだけが悪目立ちしてしまいます。そもそもダージリン自体があまりミルクティー向きとは言えないので、このアールグレイもストレートで飲むのが正解だと思います。
ジャスミンティー(緑茶)
抽出時間の目安:2~3分
緑茶がベースであるにもかかわらず、他のお茶と同じく熱湯で淹れてしまいましたが、渋みが少なく甘みがあります。香りは一般的なジャスミンティーよりもやや穏やかながら、華やかさも感じられます。かなり高級なジャスミンティーなのかもしれません。
ペパーミント(ハーブティー)
抽出時間の目安:5~8分
紛うことなきペパーミントです(笑)。ただ、他のブランドよりも香りが少し控えめかもしれません。僕はあまりペパーミントが好きではないのですが、これはわりと飲みやすいと思います。
ウィンタードリーム(ルイボス)
抽出時間の目安:5~8分
香りはシナモン、味はオレンジの印象が強く出ています。子ども用のシロップ薬のような味とでも言えばよいでしょうか。砂糖を入れなくても十分に甘いです。ベースがレッドルイボスなので、ミルクティーにもしてみましたが、フルーツ牛乳のような味になりました。個人的にはストレートのままでよいかな……。
レモンスカイ(フルーツハーブティー)
抽出時間の目安:8~10分
香りも味も柑橘の爽やかさが感じられます。特に飲み込んだ後、鼻に抜ける風味にレモンの印象を強く感じました。夏場はアイスティーにするのもよさそうです。
カモミール(ハーブティー)
抽出時間の目安:5~8分
やはり紛うことなきカモミールです(笑)。特にひねりはありませんが、ペパーミントと同じく、多少香りが穏やかかもしれません。
ルイボスバニラ(ルイボス)
抽出時間の目安:5~8分
その名のとおり、バニラの香りがするレッドルイボスです。ベースのルイボスの味にちょっと癖があるかもしれません。「ウィンタードリーム」よりもミルクティー向きです。
レッドベリーズ(フルーツティー)
抽出時間の目安:8~10分
甘酸っぱいベリー類を思わせる味です。そのままだと酸味が少し強いので、蜂蜜を入れたくなります。「レモンスカイ」と同じく、こちらも夏場にアイスティーにすると美味しそうです。
ヴァーヴェイン(ハーブティー)
抽出時間の目安:5~8分
聞き慣れない名前ですが、要するにレモンバーベナです。その名のとおりレモンを思わせる香りがすると同時に、ペパーミントのような味があります。
まとめ
こうして改めて飲んでみると、紅茶で有名なブランドのわりに、紅茶よりもルイボスやフルーツティーのほうが美味しい気がします。特にフルーツティーはドイツが本場なので、ロンネフェルトのフルーツティーはまさに本場の味と言えるでしょう。
というわけで、ティーベロップ編はここまでです。次回はもうひとつのティーバッグ商品である「ジョイオブティー」を取り上げます。
ジョイオブティー編はこちら
teaisbalmforthesoul.hatenablog.com
*1:1975年に営業およびマーケティングの責任者として入社したそうです。
*2:名前からしてロンネフェルト公式の会社のようですが、実はオッティ貿易の関連会社で、本国のロンネフェルトと直接関係があるわけではありません。
*3:とはいえ、マリアージュフレールの「アールグレイ インペリアル」やルピシアの「アールグレイ・ダージリン」など、あるところにはあるのですが。