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洋菓子の種類別に相性のよい紅茶を考えてみた

(最終更新:2023年8月2日)

クリスマスやバレンタイン、ホワイトデーなど、年末年始から春にかけては、ケーキなどの洋菓子を食べる機会が増えるシーズンです。洋菓子に合う飲み物といえばもちろん紅茶ですが、どうせならお互いの味を引き立て合う茶葉を選びたいと思いませんか? そこで今回は、ケーキやスイーツの種類ごとに相性のよい紅茶を考えてみます。

 

クリーム系のケーキに合う紅茶は?

ショートケーキやミルフィーユ、ミルクレープなど、クリーム系のケーキに合わせたい紅茶の筆頭として思い浮かぶのは、スリランカのディンブラです。渋みが適度に強いディンブラは、生クリームやバタークリームの脂っこさをリセットしてくれます。しかも、味や香りが強すぎるわけではないので、クリームの味わいを邪魔することもありません。

また、生クリームは牛乳から作られるので、ミルクティー向きの紅茶との相性も悪くありません。たとえばアッサムやケニアのCTC、あるいはルフナやサバラガムワであれば、クリーム系のケーキとよく合うはずです。なお、いくらミルクティー向きの茶葉とはいえ、クリーム系のケーキを食べるときまでミルクを加えるかどうかについては、慎重に判断したほうがよいでしょう。

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ミルクレープとディンブラは間違いのない組み合わせです。

 

チョコレートを使ったケーキに合う紅茶は?

オペラやザッハトルテ、ブラウニーなど、チョコレートやココアを使ったケーキに合わせる紅茶としては、ウバアールグレイが定番です。バレンタインの頃の記事でも書いたとおり、ウバの渋みやアールグレイの香りはチョコレートの味をさらに引き立ててくれます。ただし、どちらも個性的な風味の茶葉なので、飲みにくい場合はディンブラがおすすめです。

また、モルティなフレーバーが特徴のアッサムも選択肢に入ります。アッサムを選ぶ場合は、紅茶の香りをストレートで楽しみたければオーソドックスタイプの茶葉を、コクのある紅茶をミルクティーにしたければCTCの茶葉を選ぶとよいと思います。

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Tops(トップス)のチョコレートケーキとウバのペアリング。合わないはずがありません。

 

フルーツを使ったケーキやゼリーに合う紅茶は?

フルーツを使った洋菓子については、材料の果物が生かどうかで分けて考える必要があります。

まず、フレッシュフルーツを使ったケーキやゼリーに合わせる場合は、ニルギリキャンディヌワラエリヤなど、癖のない味の茶葉を選びましょう。特におすすめなのはニルギリです。レモンティーフルーツティーのベースに向いているニルギリは、生のフルーツが乗ったケーキとの相性も抜群です。また、イチゴや洋梨など、風味の強い果物が使われているケーキにはキームンを合わせるという方法もあります。

一方、アップルパイのようにフルーツが加熱されている場合は、ダージリンセカンドフラッシュオータムナルがおすすめです。香り高いダージリンがフルーツの甘みをよりいっそう引き出してくれます。

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タルトタタンにジュンパナ茶園(ダージリン)のセカンドフラッシュを合わせました。

 

チーズケーキに合う紅茶は?

チーズケーキとのペアリングについては、ケーキの焼き方やチーズの種類などを踏まえて決めたほうがよい場合もありますが、どんなチーズケーキとも合わせやすいのがキームンです。スモーキーな香りのキームンは元々チーズとの相性が良好なので、当然ながらチーズケーキにもよく合います。キームンの燻製香が苦手な人も、チーズケーキと組み合わせることで飲みやすくなります。

また、チーズも乳製品なので、ウバやディンブラ、アッサムやケニアのCTCなどクリーム系のケーキに合う紅茶も、チーズケーキと概ねよく合います。さらに、さっぱりした風味のレアチーズケーキの場合、紅茶の風味を損ないにくいので、アールグレイなどのフレーバードティーも合わせやすくなります。

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スモーキーなキームンとベイクドチーズケーキの相性は抜群。

 

焼き菓子に合う紅茶は?

焼き菓子とのペアリングについては、紅茶の本やメディアなどで「ミルクティーがおすすめ」とよく言われます。実際、フィナンシェやバウムクーヘンのようにバターをたっぷり使った焼き菓子には、アッサムやケニアのCTCなどミルクティー向きの茶葉を合わせたいところです。なお、焼き菓子自体に乳脂肪の味があるので、紅茶をミルクティーにするかどうかは好み次第だと思います。

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バターが香るフィナンシェやマドレーヌにはアッサムのCTCがぴったり。

しかし、バターの代わりに植物油を使っていたり、そもそも油脂を使っていなかったりする場合、アッサムやケニアのようにコクの強い茶葉を持ってきてしまうと、焼き菓子の風味が損なわれる恐れがあります。このような場合は、キャンディやキームンなど、比較的マイルドな紅茶を合わせたほうが賢明です。さらに、ドライフルーツを使った焼き菓子にはダージリンセカンドフラッシュオータムナルを、チョコレート味の焼き菓子にはウバやアールグレイを合わせてもよいでしょう。

このように、焼き菓子の材料に応じて茶葉を選ぶことでペアリングの効果が増幅するので、「焼き菓子にはミルクティー」と短絡的に考えないようにすることをおすすめします。

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フルーツケーキや抹茶のケーキならダージリンでもよく合います。

 

迷ったときは?

ここまでケーキの種類ごとに紅茶とのペアリングについて考えてきましたが、たとえばデザートブッフェなどで複数のケーキを食べるときは、どの紅茶を選べばよいのか迷ってしまうかもしれません。そんなときはまず自分の好きな紅茶を淹れてケーキとの相性を確認し、もっと渋みやコクが強いほうがよいのか、逆にマイルドな味のほうがよいのか、あるいはちょうどよいのかを考えてみましょう。

また、何人かでそれぞれ違うケーキを食べるときも紅茶選びに苦労するかもしれませんが、そんなときは各メーカーや紅茶専門店ブレンドティーを選ぶという選択肢もあります。たとえば、日東紅茶の「デイリークラブ」やリプトンの「イエローラベル」のようにスーパーで手軽に買える紅茶でもよいですし、紅茶専門店のオリジナルブレンドを選んでも構いません。こうしたブレンドティーは、どんな食べ物と合わせても美味しく飲めるように調合されていることが多く、複数人で飲む場合にも便利です。

なお、「デイリークラブ」と「イエローラベル」に加え、トワイニングの「ハウスブレンド」については、以下の記事でレビューしているのでよろしければご覧ください。

teaisbalmforthesoul.hatenablog.com

というわけで、紅茶と洋菓子のペアリングについて、いろいろ考えてきました。もちろん最終的な判断は皆さんの好み次第ですが、この記事の内容が皆さんの紅茶選びのお役に立てば嬉しいです。また、おすすめのペアリングがあれば、コメント欄でぜひ教えてください。