先月中旬、突然たくさんのスターが付いたり、ブログの読者が急増したりしたので、「一体何があったんだろう……」と不安になったのですが、なんとブログ開設5周年の記事が「きょうのはてなブログ」で紹介されました。
【きょうのはてなブログ】
— はてなブログ|思いは言葉に。 (@hatenablog) November 17, 2023
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これをきっかけに記事を読んだり読者登録をしてくれたりした皆さん、本当にありがとうございます。以前にもお知らせしたことがあるのですが、このブログは不定期更新なので、あまり頻繁には更新していません。それでもよろしければ今後ともお付き合いくださいますと嬉しいです。
さて、今年のうちに「産地別紅茶の研究」シリーズをもう1回投稿しておきたいということで、今回は中国・雲南省の紅茶について取り上げます。中国の紅茶というと、日本ではキームンや正山小種(ラプサンスーチョン)がメジャーですが、実は雲南紅茶も世界的に有名な銘柄のひとつです。キームンや正山小種が好きではないという方でも、雲南紅茶であれば美味しく飲めるかもしれません。
なお、雲南紅茶は中国語で「滇紅(ディエンホン)」と呼ばれることもあります。滇は雲南省の古い呼称です。
産地の特徴
まずは雲南省の位置を地図で確認しておきましょう。
ご覧のとおり、雲南省は中国南部の内陸部に位置しており、ベトナム、ラオス、ミャンマーと国境を接しています。実はこのあたりの地域はチャノキの原産地と言われており、古くからお茶が作られていました。雲南省もプーアル茶の生産地として歴史的に知られています*1。
ただし、紅茶の生産に関しては、あまり歴史が長くありません。AFP通信の記事(下記リンク)によると、「1938年に紅茶の専門家として知られる馮紹裘(Feng Shaoqiu)氏によって開発され、輸出されるようになった」そうです*2。「世界最古の紅茶」とも言われる正山小種や、1875年(または76年)に作られ始めたキームンと比べると、雲南紅茶は歴史が浅いということになります。
なお、雲南省全域で紅茶が作られていますが、特に主要な産地として有名なのは、上の記事でも取り上げられている臨滄市鳳慶県です。雲南省で初めて紅茶が作られたのも、この鳳慶県と言われています。
茶葉の特徴
とはいえ、歴史が比較的浅いからといって、雲南紅茶の品質が低いというわけではありません。なにしろあのフォートナム・アンド・メイソンでも「ウンナン(Yunnan)」として販売されているほどなので、ヨーロッパでの評価の高さが伺えます。
では雲南紅茶の何が高く評価されているのかと言えば、香りの良さとしっかりした味わいであると言えるでしょう。雲南紅茶は基本的に雲南大葉種と呼ばれるアッサム種系の品種で作られます。同じアッサム種系ということで、アッサムやルフナに通じるモルティな香りがある一方、雲南大葉種ならではの柑橘のような香り*3もあります。また、アッサム種系なのでポリフェノールの含有量が多く、味わいがしっかりしています。そのため茶葉によってはミルクティーでも美味しく飲める場合があります。
さらに、雲南大葉種は新芽が大きく産毛が多いという特徴があり、アッサムのようなゴールデンチップを含んだ茶葉が多い傾向にあります。中にはそのゴールデンチップだけを集めた紅茶もあり、見た目の美しさやユニークさから中国国内で人気を呼んでいるそうです。
なお、新芽の部分が多い紅茶の場合、お湯の温度が高すぎるとエグみが出てしまう恐れがあります。その場合は、一度沸騰させたお湯を少し冷ましてから使ったり、茶葉にお湯が直接当たらないよう、茶器の内側の側面を狙ってお湯を注いだりするとよいでしょう。
また、他の中国茶と同じように多煎抽出ができる茶葉もあります。僕も雲南紅茶は長蒸らしをするより短い時間(10秒程度)で煎を重ねて飲むことが多いです。
フードペアリングについて
同じアッサム種系でモルティな香りがあるということで、アッサムと同じくサツマイモとの相性は抜群です。味がしっかりしている紅茶であれば、焼き菓子などと合わせてもよいでしょう。
ただし、短い時間で煎を重ねる場合は、長蒸らしのときより味が淡くなるので、味の濃い食べ物と合わせるのは難しいかもしれません。中国茶式の淹れ方をする際は、紅茶そのものの味わいをじっくり楽しむことをおすすめします。