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ルフナとサバラガムワとは? 産地別紅茶の研究(7)

これまで「産地別紅茶の研究」シリーズでは、ヌワラエリヤディンブラ、そしてキャンディと、スリランカの山岳地帯の西側の産地を取り上げてきました。今回は西側の産地でも最後に残ったルフナとサバラガムワをまとめて取り上げます。

 

産地の特徴

ルフナとサバラガムワは、スリランカの紅茶の産地の中では最も標高が低く、ローグロウンに分類されます。山岳地帯の西側にあるので、クオリティシーズンは一応2~3月頃と推定されますが、標高の低く気候の変動が小さい土地のため、年間を通じて茶葉の生産量が安定しています。しかも、近年は生産量が急増しており、カレルチャペック紅茶店のブログによると、今ではスリランカの紅茶の60%近くを占めているそうです。

そんなルフナとサバラガムワは、元々「ルフナ」という名前の広大な産地でしたが、生産量の増加に伴い、現在のルフナとサバラガムワに分割されました。しかし、その分割された際の基準が調べてもいまいちはっきりしません。たとえば、『新版 厳選紅茶手帖』という本には、次のように書かれています。

旧ルフナの産地を南北に分け、北部がサバラガムワという新産地に(なった)
(p.107、丸括弧内は引用者による補足) 

一方、愛知県の尾張旭市にある紅茶専門店ティーズリンアンのサイトでは、次のように説明されています。

サバラガムワは、ルフナを二つに分けて2010年ころから使われだした産地名です。
ルフナだった地域の主に南の方が多いのですがその境は明確ではなく、同じ茶園であってもルフナとサバラガムワの両方の産地名で出荷している茶園もあります。(太字は引用者による)

なお、この説明文の「ルフナだった地域の主にの方」は「の方」の誤りと思われます。

以上をまとめると、「ルフナとサバラガムワはスリランカ南西部の標高の低い産地で、その中でもルフナの茶園は南側、サバラガムワの茶園は北側にある場合が多いが、必ずしもそうとは限らない」ということになるかと思います。いずれにせよ、「ルフナ」や「サバラガムワ」といった名前であれば、スリランカの低地で作られた茶葉だと思っておけば間違いありません。

ちなみに、日本ではあまりメジャーな産地ではないようですが、ロシアや西アジア(いわゆる中東)では特にルフナの人気が高くなっています。その証拠に、Tea Exporters Association Sri Lanka(スリランカ茶輸出業者協同組合)の統計によると、2020年のスリランカ紅茶の主な輸出先は、次のようになっています。

  1. トルコ
  2. イラク
  3. ロシア
  4. イラン
  5. 中国
  6. アゼルバイジャン
  7. シリア
  8. チリ
  9. アラブ首長国連邦
  10. リビア

3位にロシアが入っているだけでなく、西アジアの国(わかりやすいように国名を赤くしています)が6か国も入っています*1スリランカからの地理的な距離が近いだけでなく、西アジアでは紅茶に砂糖や牛乳、スパイスやミントなどを加えて飲むことが多いので、味がしっかりしているルフナが好まれるのではないかと思います。 

 

茶葉の特徴

広大な産地なので、茶園や収穫時期によって実際の風味は大きく異なりますが、基本的にはコクが強くパワフルな味わいが特徴です。ミルクティーにすると美味しいのはもちろん、ハイグロウンほどの渋みはないのでストレートでも楽しめます。個人的には軽めに抽出して、黒糖のような甘みを楽しむのが好きです。

えいこく屋_サバラガムワ

名古屋の紅茶専門店えいこく屋のサバラガムワ。渋みの中から広がる甘みが特徴。

 

ルフナやサバラガムワに合う食べ物は?

パンチの強いルフナやサバラガムワに合わせるなら、味が濃厚なものがよく合います。個人的にはキャラメルがいちばんのオススメですが、それ以外にもナッツやスパイスを使ったお菓子のほか、サツマイモとの相性も悪くありません。

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沖縄土産の定番の紅いもタルト、そして鎌倉紅谷のクルミッ子と。特にクルミッ子とサバラガムワの相性は抜群です。

手軽に楽しめるものでいえば、かりんとうもオススメです。特に黒糖ベースの味が濃いものが良いと思います。

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ルフナやサバラガムワのパワフルな味わいにも、かりんとうなら負けません。

そのほか、ハロウィーンの季節のかぼちゃスイーツや、バレンタインのチョコレートにもよく合います。秋冬のグルメやスイーツにルフナやサバラガムワを合わせてみてはいかがでしょうか?

*1:なお、アゼルバイジャン旧ソ連でもあります。